去年の年末は、なぜだかゴミ屋敷のお片づけのご依頼が多かったです。

 「よくやりますね」とか「私には絶対できない仕事だ」的なことを(お客様以外の人に)言われたこともあるのだけど、僕的には仕事だと割り切ってやっているので、全く厳しくないか?といえば厳しくないわけではないのだけど、組織の中などで話の通じない上司への報告作業や、覚える気のない部下や後輩に仕事を教えなくてはならない業務なんかとくらべれば、はるかに簡単で好きな仕事だと思っています。

 片付けを終えて、お客様にお引渡するときには確実に喜んでもらえる。今の世の中って、自分のやった仕事で直接、人から感謝の言葉をもらえる仕事って案外少ないんじゃないかと思いますがいかがでしょうか。

ゴミ屋敷を片付ける

 大量のゴミはどうやって片付けるのかというと、なんのことはなく、一般家庭でやっているように、ひとつひとつを細かく分別して(産業廃棄物該当品やなんかが混ざっている場合もあるので多少の違いはあるけど)運び出し、処分するという感じです。ただ、僕らのような業者に依頼される方は、ほとんどのケースで、膨大な物量だというだけです。

 当然ですが自分でやる場合、人件費がかかりません。ゴミの処分代も行政の収集日に出せば、粗大ゴミを除けばタダです(正確にはタダではなく税金であるが)。だから掛かる費用はゴミ袋代くらいなものではないでしょうか。

 ところが僕らのような業者に頼む場合、あらゆることにおカネがかかるので、大々的なゴミ屋敷清掃の場合なんかは結構な料金になります。人を一人、丸一日雇うにあたって仮に2万円支払うとして、それを「高い!」と感じる人も結構いると思います。

 サラリーマン時代にはわからなかったものですが、その2万円から税金や国民保険・年金等の支払、車両の維持費・倉庫管理費・通信代・広告費・その他の必要経費が引かれていきます。さらに言えば有給・退職金もないので、その分も含めて人件費は計算をしなくてはなりません。

 仮に作業員3人で3日間、作業するとしたら2万円×3人×3日で18万円。それにゴミの処分料金と、その他の経費が加算されます。ゴミの量や内容にもよりますが、この規模で何やかんやで30万円くらいにはなってしまうというわけです。

 お見積もりの内容を伝える時は、実は結構ドキドキなのです。何しろ、ご依頼される側は正確な料金の想像が出来ていない方が殆どです。普段「ゴミを出すのはタダ」なんで、結構簡単に考えている方も多かったりして、お見積もり料金を伝えたとたん、詐欺業者のような目で見られた(ように感じた)ことも何度かあります。

 勿論、そんな時はできる限り丁寧に、料金の内訳などをキチンと説明することにしているのですが、理解を得られないことも当然ながらあったりします。

 そんな高額のお見積りにご理解いただき、ご依頼くださった方は本当に感謝の気持ちしかありません。予算内で納めるのは勿論ですが、出来る限り喜んでもらえるように作業にも気合が入るというものです。

江東区のゴミ屋敷

 作業中は想定外の物が出てくることも多々あります。事前の見積りの段階で、ご本人様と話が出来ればいいのですが、実のところ家主以外の方からのご依頼も多かったりします。

 そうなってくると見積りの段階では、堆積したゴミの見える部分でしか見積りが出来ないので、片付けるうちに結構、困ってしまうものが出てくることがあるというわけです。

 過去には大量の現金が出てきたことがありました。しかもゴミの中に、結構、バラバラに紛れ込んでいました。これには困りました。勿論、横領などしないでお客様と一緒に数えて引き渡ししたのですが、通常以上に仕分けに神経をとがらす必要があり、回収した現金を数えたり、お客様と確認する作業で見積り想定以上の時間がかかってしまいました。正確な金額は記載できないが数千万円。さすがに時間がかかりすぎて、そのままでは赤字になってしまったので、作業にかかった追加料金を相談させていただきました。というか、お客様の方から追加料金のお話をいただいたので、乗っかってしまった次第です。ありがたい話です。

 さすがに大量の現金が出てきたことは一度っきりですが、よくある見積り時からの想定外品で困ってしまうのは大量の瓶詰や缶詰が出てきた時だったりします。

 中身が入ったままだと、処理場で火にかけることも出来なければ、破砕機にかけることも出来ません。そのままだとリサイクルも出来ないので、全て中身を空けていく必要があります。これがものすごく時間がかかるのです。

 また腐敗が進んでいたりするので、開封作業には結構な悪臭が発生します。缶詰の中にはビンテージすぎて「開けてないのに中身がなくなっている」ものもあったりします。

 これはどういうことかというと、缶詰外装部(いわゆる缶)の部分が経年劣化し、ほんの少し穴が開き、そこからさらに長い年月をかけて内部が蒸発などの現象を起こし、内部がなくなってしまったのではないかと思われます(実際に実験してるわけじゃないから想像だけど)。まさにキャトルミューティレーション。一般の方が想像できないような状況ですが、ゴミ屋敷のお片付けの日常の一コマです。

 今後は日本、いや、先進国全体でゴミ屋敷は増えていくことでしょう。今は他人に片付けてもらうということに抵抗を感じることが多いと思いますが、価値観というものは時代の流れとともに変わるものですから、いずれは業者に抵抗なく依頼して片付けるということも、お引越しレベルで日常の光景という感じになるかもしれません。

 単純に右肩上がりの業界で当社も波に乗って!なんて考えていると同業他社の乱立や、今話題のAI導入のビッグウェーブにのまれてしまうこともあるような気がします。最近では10年後のことすら想像できませんが、なんにせよお客様に喜んでいただけるサービスをこころがけていきたいものです。

 

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